特殊清掃後の臭いが残る原因は現状復帰工事にある|消臭を確実にする塗装・クロス選びの手順

キシラデコール塗装

はじめに

特殊清掃の現状復帰工事で、消臭効果に生かせる塗装工事やクロスの選択に着目している特殊清掃員はかなり少ない。

特殊清掃作業を行う業者は多くても、現状復帰工事の段階まで消臭工程を視野に入れているケースは意外と少ない。これは大きな盲点です。
この記事では、特殊清掃のあとに行う現状復帰工事について、不動産会社や家主が知らなければならない注意点をお伝えします。

MIND代表・鷹田

私が思うに、2008年から特殊清掃を続けてきて、最も大切なのは、単にマニュアル通りに作業することではなく、「着眼点」を持つことです。
ここでいう着眼点とは、単なる作業手順ではなく、全体像を理解して常識にとらわれない発想をする力のことを指します。

目次

そもそも完全消臭に必要な作業工程とは

完全消臭は、単体の作業でいきなり達成できるものではなく、複数の作業を組み合わせて完全消臭に届きます。

作業特徴評価
薬剤による洗浄薬剤によって能力が違う。
薬剤の選定には、様々なテスト経験が必要。

ヒートガンで炙る550度対応のヒートガンなら、ある程度は脂分を蒸発させられる
防臭コーティング
(塗装工事)
素材に液体が染み込んでいる場合でも効力が高い
素材に臭いが染み込んでいる場合でも効力が高い

薬剤の散布薬剤によって能力が違う。
薬剤の選定には、様々なテスト経験が必要。

オゾン脱臭使うオゾン脱臭機によって性能差がある。
オゾン脱臭機を設置する場所によって消臭効果が違う。
タイマーの時刻設定によって消臭効果が違う。

完全消臭までの全体の流れ

完全消臭は、特殊清掃の現場作業だけで達成されるものではありません。
実際には次のような流れで工程が進みます。

STEP
残置物撤去(遺品整理)

家賃債務保証の場合など、管理会社指定で行われる場合は実施されないこともあります。

STEP
特殊清掃

悪臭や害虫などの汚染を正確に処理します。

STEP
現状復帰工事

内装の美観回復だけでなく、臭気残存部分への対策も含めて行われます。

この構造を理解してはじめて、最終的な完全消臭に近づくことができます。

現状復帰工事で注意すべきポイントは防臭対策

特殊清掃の現状復帰工事は、見た目重視のきれいな仕上がりを求めて、ただクロスや床の張替えを行うだけではありません。消臭という観点から見た工事工程の適切な順序や、最低限必要な作業があります。

消臭効果を高める塗装工程

現状復帰工事で行われる代表的な作業は「床工事」と「クロス張り」です。しかし単にクロスや床を新しくするだけでは、木製の柱や枠に染み込んだ臭いは残ってしまいます。

そこで重要なのが、現状復帰の過程で行う防臭塗装です。塗装が必要な箇所は主に以下の4か所です。

  • ドア枠
  • 窓枠
  • 框(かまち・入口周りの造作材)
  • クローゼット枠

これらの木部素材には臭気が入り込みやすいため、塗装による防臭処理が必要になります。薬剤洗浄やオゾン脱臭をした後でも、塗装による封じ込め処理をすることで消臭効果が高まります。

塗装工事の順序も大事

防臭塗装は、クロスや床材の張替えよりも前に行うべきです。なぜならクロス張りのあとで塗装をすると、養生などの手間が増えてしまい…

  • 新しいクロスを傷つけるリスク
  • 余計な時間と費用

が発生してしまうからです。したがって、塗装工程を先に済ませることが現場の効率と仕上がりの質を高めます。

施工例として、キシラデコールを使った各箇所への塗装を行います。

  • 玄関ドア枠
  • トイレのドア枠
  • 窓枠
  • ロフト枠
  • 玄関板(框)
  • 部屋へのドア枠
玄関ドア枠をキシラデコールで塗装
トイレのドア枠をキシラデコールで塗装
窓枠をキシラデコールで塗装
ロフトをキシラデコールで塗装
玄関 框をキシラデコールで塗装
部屋へのドア枠をキシラデコールで塗装

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防臭対策は「ビニールクロスの選び方」でも差が出る

特殊清掃の現場では、

  • 孤独死による死臭が染み込んだクロス
  • タバコのヤニで変色・劣化したクロス

を新品に張り替えるケースが多くあります。しかし、ただ張り替えるだけでは十分ではありません。防臭を意識したクロス選びが、とても重要です。

厚みのあるビニールクロスを選ぶ理由

防臭を重視するなら、薄手タイプではなく、厚みのあるビニールクロスを選びましょう。厚手クロスには次のメリットがあります。

  • 下地に残った臭気を封じ込めやすい
  • 消臭効果を高めやすい
  • 下地の凹凸が目立ちにくく、仕上がりがきれい

薄いクロスでは、臭いが再浮上してくるリスクがあります。だからこそ、素材の厚みは重要なポイントになります。

おすすめは サンゲツ の「あんしんシリーズ」

コストを抑えながら、防臭性と施工性を両立したい場合におすすめなのが、サンゲツの「あんしんシリーズ」です。

代表品番特徴
SP2524織物調のスタンダードな塩化ビニル樹脂系壁紙で、使いやすい定番タイプです。

あんしんシリーズの主な特徴

  • 厚みがある:下地の凹凸を拾いにくく、美しく仕上がります。防臭の観点でも安心感があります。
  • 種類:「厚無地タイプ」として多くのバリエーションがあり、物件に合わせて選びやすい仕様です。
  • 天井貼りにも安心:吹き付け塗装調のベーシックなデザインが多く、柄に方向性がありません。そのため、壁だけでなく天井にも施工しやすい設計です。

サンゲツのクロスは年代で品番が変わるので注意

特殊清掃現場で定番だったSP2324「あんしんシリーズ」は、カタログの更新に伴い以下のように品番が変更されてきました。

クロス品番年代
SP23242015-2017
SP21242017-2019
SP95242019-2021
SP28242021-2023
SP97242023-2025
SP2524最新 (2025-2027)

よくある質問(FAQ)

特殊清掃が終わったのに臭いが残るのはなぜですか?

特殊清掃の現場作業だけでは完全消臭に届かないケースがあります。臭気は木部(ドア枠・窓枠・柱)の内部に染み込んでおり、表面を洗浄・脱臭しても、下地から臭いが再浮上することがあります。これを防ぐためには、現状復帰工事の段階で防臭塗装を行うことが欠かせません。特殊清掃業者と現状復帰工事の業者が連携できているかどうかが、完全消臭の成否を大きく左右します。

クロスを張り替えれば臭いは消えますか?

残念ながら、クロスを張り替えるだけでは臭いが完全に消えないことが多いです。下地の木部やコンクリートに臭気が残っている状態でクロスを貼ると、時間が経つにつれて再び臭いが表面に出てきます。クロス張り前に防臭塗装を行い、臭気を封じ込める工程が必須です。また、クロス自体も厚みのある防臭タイプを選ぶことで効果が高まります。

防臭塗装はどこに施工すればいいですか?

臭気が染み込みやすい木部素材が主な対象です。具体的には、ドア枠・窓枠・柜(かまち)・クローゼット枠の4か所が必須箇所です。これらはクロスや床材で覆われないむき出しの木部であり、臭気が直接染み込みやすい構造になっています。薬剤はキシラデコールなどの浸透性塗料が現場では多く使われています。

どんなビニールクロスを選べば消臭効果が高いですか?

防臭性能を優先するなら厚手タイプを選んでください。薄いクロスは下地の臭いが透過しやすく、時間が経つと臭いが再浮上するリスクがあります。コスト・施工性・防臭性のバランスが取れた製品として、サンゲツの「あんしんシリーズ(現行品番:SP2524)」がおすすめです。品番はカタログ更新ごとに変わるため、発注時に最新品番を確認してください。

現状復帰工事は特殊清掃業者に依頼したほうがいいですか?

一般的なリフォーム会社に現状復帰工事を依頼した場合、消臭のノウハウを十分に持っていないことが多く、防臭塗装を省いたり、薄いクロスを使ったりするケースがあります。特殊清掃業者が現状復帰工事に関わること、または消臭の考え方を工事業者に共有することが、完全消臭を実現するうえで重要です。

このノウハウは孤独死現場以外でも使えますか?

はい、有効です。ヤニだらけでタバコ臭がある家の消臭作業や、犬や猫などの糞尿の臭いが強い家にて、**特殊清掃のあとの現状復帰工事でも十分に役立ちます。**臭気の封じ込めという考え方は、臭いの種類にかかわらず共通して有効です。

まとめ | 消臭のための全体像を大切にする

多くの特殊清掃員や業者は、「現状復帰工事は自分の担当ではない」と考えがちです。
しかし、現状復帰工事の内容や注意点を知ることは、完全消臭の成功につながります。

現状復帰工事を行うリフォーム会社は、消臭のノウハウを十分に持っていないことが多いため、特殊清掃員自らが

  • 消臭の考え方を伝える
  • 最適な工事内容を提案する

ことが重要です。自分の提携業者でない場合でも、適切な処理がされるよう協力する姿勢が求められます。

なお、これらのノウハウは孤独死現場に限らず、ヤニだらけでタバコ臭がある家の消臭作業や、犬や猫などの糞尿の臭いが強い家にて、特殊清掃のあとの現状復帰工事でも十分に役立ちます。

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この記事を書いた人

2008年より遺品整理・特殊清掃の現場に立ち続けて17年。
IICRC国際資格保有・特殊清掃2,000件超の実績をもとに、
正確で信頼性の高い情報をお届けします。

『一般廃棄物収集運搬会社にて8年間の業務経験』
『IICRC認定 TCST(特殊清掃)』
『IICRC認定 FSRT(火災復旧)』
『遺品整理総合相談窓口協同組合認定 遺品供養士 コンシェルジュ』
『古物商許可取得』
『業歴17年(2008年〜)』
『特殊清掃実績 2,000件超』

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