特殊清掃の臭いが消えない?防臭コーティングの種類・費用・正しい施工手順を解説

多くの特殊清掃業者のウェブサイトの料金表を見ると「特殊コーティング」または「床下防臭コーティング」など記載されており、具体的にはどんなコーティング作業をするの?と疑問を感じておりませんか?

MIND代表・鷹田

この記事では、IICRC国際資格取得・2,000件超えの特殊清掃実績を持つMIND代表・鷹田が、不動産管理会社や家主様の多くが疑問を感じている「特殊コーティング」の意味、役割、効果、種類などを解説していきます。

目次

「特殊コーティング」の役割と過剰な宣伝には注意

 我々、特殊清掃業者が行う「特殊コーティング」とは、例えば部屋などで孤独死された場合、床下のコンクリートスラブなどに体液が染み込んだ箇所の異臭を封じ込めるために塗装などで被膜を形成します。臭いの元をオプラートするイメージです。
孤独死などが発生した際、タンパク質が腐敗することで発生する死臭を封じ込めなければならない訳ですから、通常のコーティング作業よりも強固な被膜を必要とします。
そのために市販品の塗料などを、そのまま塗布するのでは被膜が薄くて防臭効果が弱く、数種類の塗料をブレンドしたり、塗料以外のモノをブレンドしたり、防臭効果が高くなる独自のコーティングを生み出しております。
だから「特殊コーティング」と言われる訳ですが、コーティング技術の無い同業者の中には市販品の塗料を、そのまま塗布しているのに「特殊コーティング」と告知している場合も多くございます

特殊清掃のどんな場面で特殊コーティングが必要なのか?

ここでは防臭効果の高い特殊コーティングを必要とする場面を解説いたします。
床上で亡くなった場合、発見が遅いと身体は溶け出し大量の体液が発生して、床下まで浸透いたします。
この際の特殊コーティングの良し悪しが施工後、臭気に大きく影響します。

この際、床下がコンクリートスラブならコンクリート内部まで腐敗臭の原因である体液が染み込んでしまいます。
そこでコンクリートスラブの表面上から、ナノエッジ(小型ポリッシャー)等を活用してアルカリ電解水などで、可能な限りの清掃を行った後で、特殊コーティングを行い異臭を封じ込めます。



あまりにもコンクリートスラブに脂分が多い場合、そのまま特殊コーティングしても、死臭が抑えられないことが大半です。この場合、550度まで対応できるヒートガンで脂分をある程度、蒸発させる必要性があります。


見栄えを良くするために塗装範囲を養生用布粘着テープを貼り付けして特殊コーティングを塗布いたします。


梁(大引)や柱へ特殊コーティング

この際、床下の梁(大引)や柱が汚染された場合、木材内部まで腐敗臭の原因である体液が染み込んでしまいます。
そこで梁(大引)や柱の表面上をカンナ掛け行い、可能な限りの清掃を行った後で、特殊コーティングを行い異臭を封じ込めます。

体液は脂分を含んでおり、梁(大引)や柱の表面上をカンナ掛け行わないと、特殊コーティング(塗装)を塗布しずらい。
当たり前ですが、柱は絶対に切って除去できません。梁(大引)は絶対に切れない箇所ではありませんが、通常は切らないため、これらが汚染された場合は特殊コーティングを行い死臭を封じ込めます。


根太(ネタ)をコーティング

根太Before
Before
根太After
After





根太(ネタ)を切り落とし撤去の場合

床材
根太を撤去

根太の場合は、切り落としても良いし、特殊コーディングを行い死臭を封じ込めても良い。どちらにしろ、腐敗臭が抑えられば問題ない。

クロス(壁紙)の特殊コーティング

クロス貼替

クロスを貼る際、糊にある種のボンド(企業秘密)を混ぜることで、石膏ボード(壁)とクロス(壁紙)との間に被膜ができて防臭効果が高くなる。このように塗料だけが特殊コーティングとは限らない。

特殊コーティングの費用相場

費用は汚染の範囲・素材・使用する塗料によって大きく変わります。下記はMINDの施工実績をもとにした目安です。正確な金額は現地の状態により異なるため、まずは無料見積もりをご活用ください。

床のみ(6畳)
3万円〜
コンクリートスラブ表面へのコーティングのみ。汚染が表面に留まる軽度ケース。

床+床下(6畳)
8万〜15万円
根太・大引・コンクリートスラブへの浸透あり。下地処理+コーティングが必要。

床+壁・天井
現地見積もり
壁紙・石膏ボード・梁まで汚染が及ぶ場合。範囲により大きく変動。

項目費用目安補足
水性コーティング比較的安価シンナー臭なし・引き渡しが早い。孤独死現場での標準選択。
油性コーティング水性より高め強固な塗膜・FRP混合で最強防臭。シンナー臭が数日続く。
下地処理(アルカリ洗浄)別途加算コンクリート内部への浸透が深い場合に必要。省略不可。
梁・柱のカンナ掛け別途加算木材表面の脂分除去。怠ると塗料が密着せず臭いが残る原因に。

費用だけで業者を選ぶと、市販塗料をそのまま塗布するだけの「なんちゃって特殊コーティング」になるケースがあります。見積もり時に「使用塗料の種類・耐用年数・下地処理の有無」を必ず確認してください。

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特殊コーティングの建築塗料は大きく分けて2種類

事故事件現場の施工で活用する特殊コーティングは、大きく分けて「水性」と「油性(溶剤)」のタイプがあります。
双方とも孤独死現場などで活用した際の「メリット」と「デメリット」が存在しており、詳しく解説いたします。

「水性」塗料の場合

メリット
  • シンナーなどの溶剤が配合されていない為に、悪臭がない
  • シンナーが含まれていない為に、火気の心配がない
  • 溶剤中毒にならない
  • 値段が安い
  • シンナー臭がしないために、早く引渡しが出来る
  • 活性炭塗料や備長炭塗料を含めると防臭効果が高い
デメリット
  • 塗膜の寿命が短い
  • 塗布できない素材もある
  • ツヤが落ちやすい傾向
  • 低温での施工が難しい
  • 油性と比べて作業工程が多い

最近の同業者の傾向としては、水性を好む方が増えております。但し、水性の場合、耐用年数に大きな差があるため、耐用年数の長い塗料メーカーを選択しなければならない。(孤独死現場なら耐用年数は8年以上を基準にしたい。なぜなら8年も経てば、染み込んだ体液等の臭いが風化すると言われているからです。)

一般的な水性塗料を市販品そのままで塗布すると防臭効果が弱く、活性炭塗料や備長炭塗料をサンドイッチ工法で仕上げる必要性を考えなければなりません。

「油性(溶剤)」塗料の場合

メリット
  • 金属にも密着できる
  • 乾燥時間が短い
  • ツヤを維持しやすい
  • 強靭な塗膜を作る事が出来る
  • FRP液体を混ぜることで最強の防臭効果が生まれる
デメリット
  • シンナーの臭い(トルエン臭)が強い
  • 価格が高い
  • 保管の際、火気に注意
  • 扱いに手間がかかる

溶剤を塗布すると部屋の中が強いシンナー臭にマスキングされて、施工完了しても腐敗臭の有無がしばらく確認できない。そのため、シンナー臭が治まる迄、待つ時間が必要で引き渡しが長くなる傾向が強い。

特殊コーティングで活用する建築塗料の材質と耐用年数の目安とは?

塗料の材質、耐用年数、メリット、デメリットをわかりやすく表にしました。

建築塗料の材質と耐用年数について
耐用年数メリットデメリット
アクリル系塗料4年∼6年値段が安い耐久性や防汚性能は他に劣る
ウレタン系塗料7年∼10年密着性高く場所、規模、用途を問わず万能な性能シリコン系に比べると耐久性が劣る
シリコン系塗料10年∼15年高い防汚性能を持ちコストパフォーマンスは最高
フッ素系塗料
光触媒塗料
15年∼20年今後主流になっていく予想施工に専門的なノウハウ必要

特殊コーティング作業の流れ

孤独死現場の特殊コーティングでは作業そのものは、水性の方が作業工程も多く、下塗りなどの乾燥時間も多く必要で手間はかかりますが、塗装完了後はシンナー臭がしないために、腐敗臭の有無がすぐに確認できます。
そのため、水性なら引渡しが早くできるメリットございます。

水性の塗料を活用する場合

STEP
塗装面を洗浄

水性を活用するならアルカリ性洗浄剤(アルカリ電解水)などで塗装面を綺麗にする。


STEP
下塗り

中・上塗りと塗装面の密着性を高める役割で、最初に接着効果の高い水性のプライマリーを塗布します。


STEP
中塗り

水性の塗料を塗布します。


STEP
上塗り

消臭効果の高い備長炭塗料(黒色)を塗布します。(サンドイッチ工法)


STEP
最終上塗り

水性の塗料をもう一度塗布します。




油性の塗料を活用する場合

STEP
塗装面を洗浄

溶剤を活用するならラッカーうすめ液などで、塗装する前には塗装面を綺麗にする。


STEP
下塗り

中・上塗りと塗装面の密着性を高める役割で、最初に油性用下塗り剤(プライマリー)を塗布します。


STEP
中塗り

FRP液体と油性塗料(7:3)をブレンドしてFRP硬化剤をほんの少々混ぜて、塗布することで強固なコーティング剤になる。

FRP硬化剤は夏場なら、ほんの1〰2適を混ぜるだけで良い。FRP硬化剤を多く混ぜると、直ぐに塗料が固まってしまう。




STEP
上塗り

仕上げは油性塗料のみを塗布します。




下塗り(プライマリーやシーラーと呼ぶ)の種類と特徴

シーラー、プライマーは、下塗り塗料(1回塗り)と言われ塗装面と中・上塗りの付着をよくする役割があり、この下塗り塗料にも水性と油性があります。
この下塗りがしっかりしていないとすぐに中・上塗りが剥がれてくる可能性があります。そのため、塗装面の状態がよくても必ず下塗りはします。

水性
  • シンナー臭がしない
  • 浸透性が低いので、あまり吸い込まない
  • 乾燥時間が3~4時間と長い (下地の状態や季節・気候による)
油性
  • シンナー臭が強い
  • 浸透性が高いので、よく吸い込む
  • 乾燥時間が30~60分と短い (下地の状態や季節・気候による)

よくある質問(FAQ)

特殊コーティングは自分でDIYできますか?

市販の塗料を使えば施工自体は可能ですが、孤独死現場などの特殊清掃では推奨しません。腐敗臭の原因となるタンパク質がコンクリートや木材の内部深くまで浸透しており、表面を塗装するだけでは臭いを封じ込めることができません。また、脂分が多い場合はヒートガンで事前処理が必要で、専門機材がなければ塗料が密着しません。

特殊コーティングの防臭効果はどれくらい続きますか?

使用する塗料によって異なります。アクリル系4〜6年、ウレタン系7〜10年、シリコン系10〜15年、フッ素系・光触媒15〜20年が目安です。孤独死現場では体液臭の風化に8年程度かかるため、耐用年数8年以上の塗料を推奨しています。

水性と油性の特殊コーティング、どちらを選べばよいですか?

水性はシンナー臭がなく施工後すぐに防臭効果を確認でき、引き渡しも早い利点があります。油性は強固な塗膜とFRP混合による高い防臭効果が得られますが、シンナー臭が数日続きます。当社では特段の理由がない限り水性を推奨しています。

特殊コーティングをしても臭いが残る場合はありますか?

下地処理が不十分な場合や市販塗料をそのまま使用した場合に臭いが残ることがあります。梁・柱・根太のカンナ掛けを省略した場合や、活性炭・備長炭塗料のサンドイッチ工法を行わなかった場合に多く見られます。

特殊コーティングの費用はどれくらいかかりますか?

汚染範囲・素材・塗料によって異なります。床(コンクリートスラブ)のみで6畳あたり数万円〜、床下まで汚染がある場合は追加で数万〜十数万円が目安です。正確な費用は現地の状態によるため、無料の現地見積もりをご利用ください。

まとめ|特殊清掃で防臭効果の高い特殊コーティングとは

  • 防臭効果を高める特殊コーティングは水性の方が塗布完了まで手間はかかるが、水性塗料は臭気がしない為に油性よりも早く引き渡しができる
  • 防臭効果を高める特殊コーティングは油性なら素早く塗布完了するが、シンナー臭がしばらく漂い、腐敗臭の有無の判断が出来ず引き渡しが遅くなる傾向にある
  • 防臭効果を高める特殊コーティングは塗装だけでなく、クロスを貼る際の糊にある種のボンド(企業秘密)を混ぜるコーティング工法もある
  • 脂分が多い場合、特殊コーティングする前にヒートガンを使い、ある程度の脂分を蒸発させる必要性がある
MIND
きちんとした消臭効果を出すためには、何事もさじ加減が重要です。これはマニュアルでは覚えられず、多分な経験値が必要です。

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この記事を書いた人

2008年より遺品整理・特殊清掃の現場に立ち続けて17年。
IICRC国際資格保有・特殊清掃2,000件超の実績をもとに、
正確で信頼性の高い情報をお届けします。

『一般廃棄物収集運搬会社にて8年間の業務経験』
『IICRC認定 TCST(特殊清掃)』
『IICRC認定 FSRT(火災復旧)』
『遺品整理総合相談窓口協同組合認定 遺品供養士 コンシェルジュ』
『古物商許可取得』
『業歴17年(2008年〜)』
『特殊清掃実績 2,000件超』

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